自己決定理論、残りの1つ
子供のときにはなんでも興味を示し、
『できるよ!』とぐちゃぐちゃにしながら挑戦して大人を困らせていた私たちですが、いつのまにか少しずつその気持ちを失いながら大人になっていきます。
本来持つ意欲を引き出す要になる自己決定理論、
関係性・有能性・自律性のうち今回は『有能性』についてです。
小さい事でも『できる』と思ってもらうこと
自己決定理論の3つで一番学習者の心理に絡んだ欲求が有能性だと言えます。
学習者が『自分にはできる』と思ってもらうことが鍵になるからです。
自分にはできる。
自分に能力がある。
自分は役に立つ存在だ。
その満足感からさらに知識を重ね、課題に取り組み、自分をより高みへと持っていこうとする欲求が有能性です。
指導者からの言葉の重み
学習者はどんな時に有能性を感じられるのでしょうか?
レベル別にクラスが分けられている学校でも、学習者によって差がでることはよくあると思います。
自分よりもできる対象が近くにいると、比べて劣等感を感じてしまうのが人の心理です。
特に新しいことを学んでいる過程ほど劣等感を感じやすい時期はないと思います。
学習者が自分を肯定できなかったら、他に誰が肯定してくれるでしょうか。
前回の『関係性』の記事に、
『一人一人に興味を持ち、強みを見つけ伝える』大切さについて書きました。
有能性も同様です。
自分の能力に自信がない学習者に対しては特に気を配って有能性のバランスを整える必要があります。
指導者の言葉の影響力は想像以上です。
インプットは『 i +1』?
言語学者のKrashenはインプット仮説で
実際の能力よりも少し上の内容に取り組んで理解したとき、人の脳力は最も成長すると唱えています。
『 i +1』は与えられるべきインプットの水準を表し、
i が学習者の実際の能力を、+1は学習者が成長するために足すべきレベルを指します。
簡単すぎると学習者は飽きてしまい、
難しすぎると有能性を満たせずやる気を失う学習者もいるでしょう。
課題を与える時、間違いを訂正する時も学習者に合わせた『 i +1』を与えることが学習意欲を損なわないためにもできることです。
指導の経験や知識を生かして学習者に合った『 i +1』を
学習者に『自分にはできる』と思わせることは自己決定理論の最後の1つ『自律性』の刺激にも繋がります。
学習者が持つ学習意欲はどんな教材よりも学習者の能力を伸ばしてくれます。
次回、学習意欲の最後『自律性』に続きます😊
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