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元日本語教師の海外日記

元日本語教師・英語教師/現言語教育コンサルタントのブログ🌻

大人の外国語学習は子供と比べると有利?

子供と大人は違う
『若ければ若いほど外国語を学ぶのには有利だ』とよく聞きますよね。

私たちが子供の時は教科書で勉強をしなくても話せるようになったのに…

そう考えると、大人には苦労ばかりな気がして余計に辛い気持ちになります。

大人に必要な事を伝える為に、生きていく為にと言葉を覚える子供の母語習得と興味や目的の為に外国語を学習するのでは必死さも違います。

そして、母語習得と外国語学習ではプロセスも使う脳の部位も違います。

本当に早く始めた方が有利なのでしょうか?

子供の言語習得は耳から
子供の習得と大人の学習に触れるとなると臨界期仮説は外せません。

少しまとめますと、ネイティブのように言語を扱えるようになるには年齢に上限があるとするのが臨界期仮説です。

一説には年齢の上限は思春期で、この頃から外国語を学ぶ能力は下がる傾向にあるとされています。

これがよく言われる『若い方が…』の根源です。

目的言語に長期間、毎日何時間もどっぷり浸かる環境なら若い時の方がいいかもしれませんが、脳が成熟した大人の方が理解力が高く有利であるとも言いますし、聴解能力に関しては子供の方が有利とも言います。

乳幼児にはどの言語に属するどんな音でも聞き分ける能力が生まれながらにあるからです。

それもだんだんと聞き慣れた母語が強くなって、母語にない音を認識しなくなったり母語の似た音と同じものと判断したりして母語以外の音を忘れていきます。

私たち日本語母語話者が英語のRとLに苦労する理由はここです。

大人が文法などの知識を得るには時間と労力をかければどうにかなることが多いですが、聴解能力は失った能力を補うように工夫して伸ばしていく必要があります。

それだけは確かに少し苦労する点だと思います。

大人の言語学習の特徴
『やっぱり若い時の方がいいのか』
とここまで読むと思うかもしれませんが、大人の言語学習で一番の強みは正確さです。

国語と日本語はまったく別の学問分野ですし、例えば、日本語能力試験(JLPT)の問題を答えられない日本語母語話者も少なくありません。

知識ではなく、経験や環境から習得した母語は”正しさ”よりも“通じる”ことを優先しています。

これはどの言語にも言えることです。

学習開始の年齢よりも自分の目的に合う学習方法で着実に学ぶことがなによりも大事なのですが、躓いている学習者のほとんどは自分に合っていない方法で学習している場合が本当に多いです。

自分と同じ人がいないように、学習方法もそれぞれで違うのは言語学が昔も今も変わらずに研究されている理由でもあります。

同じ学習方法でもタイミングやレベルによっては合わないこともあるので、専門家と話す機会がなかったら、情報を集めて今の自分に合う学習方法を模索することで学習への抵抗も減ると思います。

次回は関連して、幼児期の言語習得について書くつもりでいます😊

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