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元日本語教師の海外日記

元日本語教師・英語教師/現言語教育コンサルタントのブログ🌻

パートナーがいると語学力が上がるって本当?

パートナーがいると語学力は上がる?
この記事に関連していますが、読まなくても今回の内容はわかります😊
今までに様々な動機で日本語を学習し始めた人に出会いました。
その中で目に見えて学習成果があった学習者には
『パートナーが日本人だから日本語を勉強したい』
という動機を持っている人が多かったです。

学習動機とモチベーション
義務教育で英語を勉強した私たちが実感しているのは、コミュニケーションを取るための学習と点数を取るための学習は大きく違うことだと思います。
点数の為の言語学習は、増えた減ったことに関わらず点数が目に見えるので成果がわかりやすいです。

一方で、コミュニケーションの為の言語学習は成果が主観的であり漠然としたものです。

相手がいてのことなので自分一人では成果が見えないのもその特徴だと思います。

前回のブログで内発的動機と外発的動機について書きましたが、
外発的動機の同一視的調整段階から内発的動機に一番移行しやすいのもコミュニケーションをする相手がいての言語学習の特徴でもあります。

できなかったからできるへ
誰かと話すために言語を学習するのは本当に楽しいです。

今まで言語の壁で分かり合えなかった相手とも、言語1つで分かり合えるようになることがたくさんあります。
一所懸命に作り出した文が相手に通じたときの喜びは他には変えられないものだと思います。

通じなかったことが通じる。
できなかったことができる。

指導者の立場からも指導している学習者が成果を上げ、言語学習の楽しみを見出すことは喜ばしいことだと思います。

できる経験をする学習環境作り
内発的動機が学習への意欲を増幅することは前記事に書いた通りですが、この『できなかったことができる』経験を利用して内発的動機へと導く環境作りへと応用ができます。

そのために、Krashenのインプット仮説の観点からも学習者のレベルよりも少し難しいくらいのインプットを十分に与え、アウトプットしやすい環境を作る。
楽しいという感情はアウトプットのときに生まれやすいからです。

アウトプットから最大限の成果を得るには
ある実験例で語学学習者を3つのグループに分け、難しい課題に挑戦する学習者の割合を調べたものがあります。

グループ1:指導者はこのグループの能力に関して誉める 例『頭がいい』
グループ2:指導者はこのグループの努力に関して誉める 例『よく頑張っているね』
グループ3:指導者はこのグループを誉めない

この中でグループ2が自分の能力以上の課題に積極的に挑戦した人数が比較的に多かったそうです。

人は能力に関して誉められると『失敗したくない』『能力がないと思われたくない』などの理由から難しい課題に消極的になるそうです。
もちろん、学習者タイプなどの様々な要因で全員にこの仮説が当てはまるわけではありません。

学習者に『できなかったことができる』という状況を作り出すには学習者の難問に挑戦する姿勢にも気を配る必要があると思います。

グループ1のように『失敗すること』を恐れ消極的になると『楽しい』という感動を得る機会も少なくなります。

作文で自分の気持ちを綴ったり、指導者などと会話練習したりと目的言語をアウトプットして通じる喜びを積極的に教室学習に取り入れることは学習者にとって精神的にもプラスになると思います。
その際、『できなかったら怒られる』などの環境では貴重な内発的動機へと導くチャンスをなくしてしまうことにもなります。

委縮した学習環境では、アウトプット仮説の観点からもアウトプットの際の“気づき”から得る学習成果を減らしてしまいます。
言語指導者は学習計画や言語知識に重点を置きがちですが、受け入れる側の学習者が万全じゃないとせっかく準備した学習計画も効力を発揮できません

学習効率を最大にするという点でも、話したい相手がいる環境は語学力に大きなプラスになると思います🌻