日本人にとってRとLの発音が大変という話を少ししたのですが、
日本語学習者にとっても『ら行』の音はなかなか難しいのです。
ら行の言語転移
ら行はひらがな表で”ra ri ru re ro"と表記されています。
”R”と書いてあるので、日本語の『ら行』を舌を巻いた音で発音する言語転移が日本語学習者にはよくみられます。
そして実際の『ら行』の音は舌先を上に弾く音なので、似たように舌先を弾く”D"の『だ行』の音と聞き間違える学習者も多いです。
英語の”R”でも”L"でもない日本語特有の”R”の音なので
発音でも聴解でも少し異なる理由で『ら行』は学習者を苦しめます。
た行も意外に複雑
少し似たような理由で、”T"の『た行』も日本語学習者にとっては発音が難しいです。
例えば、『しちゅれいします』。
比較的どの言語の話者も難しいとされる日本語の『つ』の発音です。
『た行』には”T”の音じゃなく異なる子音がそれぞれ含まれているからです。
ローマ字で表記されているので、自分の言語の発音表記の発音規則をそのまま当てはめてしまったり(言語転移)、単純に当てはまる音がないので近い音を自分の言語から持ってきたりと音で躓く理由は様々です。
フィリピン人はリズムが好き
日本語の音に苦戦する日本語学習者たち。
フィリピン人ももちろん例外ではありません。
私が関わっていたフィリピンの日本語学習者は発音につまずくと、
りゃ りゅ りょ x3
と三回唱えるtongue twisterが始まり、最終的にはリズムをつけて発音するのがお気に入りだったみたいです。
フィリピンの教育形態からか勉強することに慣れていない学習者が多い印象があって、ここでのカリキュラム作成の際にはそのことを考慮しなくてはいけませんでした。
指導者の注意がとても重要
聴解能力に必要な音の識別能力は乳幼児から幼児の間で形成されるので、言語学習者にとって習得するのが難しい能力です。
ありきたりですが、指導者は間違いの原因を探り、学習者にその間違いを意識させることはとても大事です。
学習者が間違いの原因がわからなければ、同じ間違いを繰り返し、乗り越えるサポートができないからです。
学習者が”気づいて”意識的に修正することが一番の近道です。
言語学習に心理的要因は大きく影響する
言語には多種多様な音があるので母語にない音だと発音が難しかったり、音の識別ができなかったり”くせ”がでたりもします。
前回のブログにも書きましたが、
フィリピン人同士でタガログ語を話すとき、くせがでる話者がいるのも自然なことです。
タガログ語に限らずどの言語にも言えることですが、音につまずくことで言語の発音のくせにも寛容になってくれたらなと思います。
躓いている原因を見つけ、対処することも教える上ではもちろん大切です。
学習する環境は学習者の心理的負担に密接に関係しているので、
誰かが劣等感を感じることなくクラスをコントロールすることも彼らの学習効率のためには大切なことです。
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